わたしのストーリー
- Mie SUDO
- 5月15日
- 読了時間: 3分
私が「聴覚情報処理障害」という用語で私自身の脳で行われている聴覚処理の特性を悟ったのはつい最近のことです。研究が進んで聞き取りの処理の困難という現象が、社会的に少しずつ認識されるようになってきたからです。それまでその現象を表現する言葉もなく、困難の出どころを自覚できなかった間、たくさんのからだのサインが私を訪ねてきました。月経周期のホルモン変動がそれらを助長していました。
表現する言葉がないあいだ、原因不明の疲労や痛みにたびたび襲われていました。変動があり、常にあるわけではないさまざまな状態がやってきては去り、自分の通常の状態を認識するのもなかなかの苦労だったのです。専門性の高い場所や医師に出会っても、周期性との関連を指摘してくれた人はおらず、正確な診断と治療が受けられず悪化したこともありました。様々に起きている問題が、月経周期や聴覚処理との関連にあるのだと自ら気が付いてからようやく、適切な治療にたどり着くことができました。私は感覚と記憶をつなぎ合わせてからだのリズムを尊重していく作業にも取り掛かりました。当事者会に顔を出し、仲間を見つけることも大事な作業でした。ホルモン療法や分子栄養法、聴覚の方では負担を軽減するデバイスを工夫しながら、ようやく身体・生活感覚の恒常性を取り戻しました。
こうした苦労の末、私が手に入れたものもありました。それまでの私は、多くを聞き取ろうとして、小さな物音や人の声、ことばにならないようなからだの感覚にも耳をすましていました。自己と他者の心の動きや、変動するものを感じて、それに即時適応しようと必死でした。言語のスキルもかなり高くなりました。音から言語に処理するプロセスを補うようにして、人生のあいだずっと発達させてきた力でした。大学院に入るころには、コミュニケーション能力が非定型に進化して、誰も私に聴覚情報処理障害があるとは気が付かなかったほどです。そして、臨床心理学に来て、そうして二次的に発達した能力が、カウンセリングにとっての重要なスキルになることを知りました。
人間は無意識に生きものが動く感覚を拾い、見たもの、聞いたもの、触ったものなどの五感と統合して他者認識をしています。聴覚情報の処理(言語による理解)に少々時間がかかっていた私は、相手のメッセージをどうにかこうにか聞き取りたいという想いで、いつの間にか人間の中でも一番早く動く「情動(やがて感情として認識される)」という感覚をキャッチするのがとても上手になったのです。これが私のアプローチの起源です。
そしてあとからゆっくりまとまってくる言語的理解と合わせて、私自身のからだのリズムも尊重して、ゆっくりと物事の全体を考えるようになりました。
聞き取り困難症?それでカウンセリングできるの?ご安心ください。1対1で雑音の入りにくい環境では、会話に問題はありません。むしろ、聞き取りやすい状況ですと、私の身体性や感受性はいかんなく発揮されます。私はあなたの言葉はもちろんですけれど、身体の感覚の方が、あなたにとって望ましい方向はどこなのかというヒントをくれていると思いますし、そうした感じたことの先に自分にとってぴったりと腑に落ちる言葉=存在の実感が見つかると思います。
生成AIが発達している現代は、知識や言葉の理解だけならいくらでも得られる時代になりました。ですが、身体感覚や感情はまだ人と人とのあいだに置いてみてはじめて、多くのことがわかります。
慣れていないと少々怖いと感じるかもしれませんが、大丈夫です。ペース配分や、仕事や生活のリズム、知識の補完や、やりやすいワークなど工夫ができます。ぜひ一緒に作業していきましょう。
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